特集 生殖医学のcutting edge
ミトコンドリア病における核移植
山田 満稔
キーワード:
ミトコンドリア病
,
母系遺伝
,
核移植
,
ミトコンドリア置換法
,
mtDNA carryover
,
mtDNA genetic drift
Keyword:
ミトコンドリア病
,
母系遺伝
,
核移植
,
ミトコンドリア置換法
,
mtDNA carryover
,
mtDNA genetic drift
pp.31-34
発行日 2019年6月1日
Published Date 2019/6/1
DOI https://doi.org/10.34449/J0015.26.02_0031-0034
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ミトコンドリアはエネルギーを産生する細胞内小器官の1つであり,固有のDNA(ミトコンドリアDNA;mtDNA)をもつ。mtDNAの病的変異によりミトコンドリア機能に異常をきたすと,ミトコンドリア脳筋症,心筋症,難聴,糖尿病,腎障害といったさまざまな疾患を呈しうる(ミトコンドリア病)。ミトコンドリア病は,卵子の細胞質を介して母親から子どもへと遺伝される遺伝性疾患(母系遺伝)であり,根本的な治療法が存在しない。核移植は変異mtDNAを正常mtDNAと置換することで,次世代へのミトコンドリア病の伝播を防ぐ有効な治療法となると期待されており,2015年には英国で合法化された。しかしながら核移植においては,核側卵子ドナーから持ち込まれる少量のmtDNA(mtDNA carryover)が存在し,その後の発生過程において健常なミトコンドリアを駆逐してしまい,ミトコンドリア置換法で防がれるはずだった疾患を発症する恐れがある。本稿では,これまでのミトコンドリア病の遺伝の予防を目的とした核移植について得られている知見を紹介する。「KEY WORDS」ミトコンドリア病,母系遺伝,核移植,ミトコンドリア置換法,mtDNA carryover,mtDNA genetic drift
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