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第1土曜特集 成人診療医にも知ってもらいたい小児神経疾患診療のポイント
ミトコンドリア病
Mitochondrial disorders
三牧 正和
1
Masakazu MIMAKI
1
1帝京大学医学部小児科学
キーワード:
ミトコンドリア病
,
遺伝性疾患
,
多臓器障害
Keyword:
ミトコンドリア病
,
遺伝性疾患
,
多臓器障害
pp.766-772
発行日 2024年3月2日
Published Date 2024/3/2
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28809766
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ミトコンドリア病は,ミトコンドリアにおけるエネルギー産生低下により起きる病気の総称であり,原因遺伝子が400以上にものぼる多様な疾患群である.エネルギー需要の高い中枢神経や骨格筋症状が主体となることが多いが,あらゆる臓器の症状を合併しうる多臓器障害性が特徴である.多彩な臨床病型が知られており,重症度も新生児期発症の重症例から成人期に発症する比較的軽症な例までさまざまで,診療においては患者ごとの対応が必要になる.根本的治療法は確立されておらず,各臓器障害への対症療法が中心となるが,近年,タウリンやL-アルギニン療法などの特異的治療も行われている.慢性進行性の経過を示す患者が多く,小児期から成人期まで切れ目のない継続的な診療が必要となる.成人への移行医療を困難としている要因としては,疾患の希少性,多臓器障害性,重症度,小児・成人間の社会福祉制度の違いなどがあげられる.症状が多臓器に及ぶことを念頭に診療を行い,成人期に向けて診療科間の連携を進めることが重要である.
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