今月の臨床 重篤な遺伝性疾患の着床前診断―患者ニーズと診断・治療の現状
疾患各論
ミトコンドリア病
難波 聡
1,2
,
大竹 明
1,3
1埼玉医科大学病院ゲノム医療科
2埼玉医科大学病院産科・婦人科
3埼玉医科大学病院小児科
キーワード:
母系遺伝
,
ヘテロプラスミー
,
ホモプラスミー
Keyword:
母系遺伝
,
ヘテロプラスミー
,
ホモプラスミー
pp.228-235
発行日 2024年3月10日
Published Date 2024/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409211161
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●ミトコンドリア病はミトコンドリアの機能障害によって生じる遺伝性の疾患であり,核DNAあるいはミトコンドリアDNAの変異によって引き起こされる.ミトコンドリアDNAの変異は母系遺伝の特徴をもつ.
●脳症や筋力の低下,聴力・視覚障害など多様な症状を示し,新生児期から成人期まで発症する進行性の疾患であり,治療は困難である.着床前遺伝学的検査(PGT-M)は,これらの疾患のリスクをもつ胚を識別し,非罹患胚を選択するための有効な手段である.
●PGT-Mは,特に新生児期や乳児期に発症する重症ミトコンドリア病に対して用いられる.ミトコンドリアDNAによる疾患では,ヘテロプラスミー率の正確な評価や変異率と症状の相関の不確実性,カットオフ値の設定の困難さなどが問題となる.
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