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特集 腎疾患の診断と治療 最前線
III.各論2:全身性疾患に伴う腎障害(診断と治療)
18.ミトコンドリア病
Mitochondrial Disease
今澤 俊之
1
Imasawa Toshiyuki
1
1国立病院機構千葉東病院腎臓内科
キーワード:
ミトコンドリア病
,
ミトコンドリア腎症
,
遺伝学的診断
,
ミトコンドリアDNA
,
核DNA
Keyword:
ミトコンドリア病
,
ミトコンドリア腎症
,
遺伝学的診断
,
ミトコンドリアDNA
,
核DNA
pp.256-260
発行日 2024年12月15日
Published Date 2024/12/15
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001609
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1 はじめに:「ミトコンドリア病」とは
ミトコンドリア病とは,核DNA(nuclear DNA:nDNA)またはミトコンドリアDNA(mitochondrial DNA:mtDNA)上の遺伝子の病的バリアントにより,ミトコンドリア呼吸鎖における酸化的リン酸化機能が低下し発症する疾患である1,2)。ミトコンドリアはミトコンドリア呼吸鎖の電子伝達を介した酸化的リン酸化によりアデノシン三リン酸(adenosine triphosphate:ATP)を生産する。細胞活動に必要なエネルギーはミトコンドリアからATPの形で供給されるため,ミトコンドリア病はさまざまな臓器で障害を引き起こす1,2)。そして,さまざまな臓器に現れた症状から,ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様発作症候群(MELAS),Leigh脳症,ミトコンドリア心筋症(mitochondrial cardiomyopathy),ミトコンドリア肝症(mitochondrial hepatopathy)などの診断がなされる。腎も例外ではなく,ミトコンドリア病における障害臓器となりうる。ミトコンドリア病により腎障害が起きる機序は2つある(図)。
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