特集 子宮頸部の生理と病理
子宮頸部の生理 (3)子宮頸部の妊娠変化―正期産における子宮頸管熟化の機序(炎症誘発早産での熟化との差)―
杉村 基
1
1浜松医科大学医学部医学科産婦人科・家庭医療学講座教授
キーワード:
子宮頸部リモデリング
,
細胞外マトリクス
,
コラーゲン線維
,
ヒアルロナン
Keyword:
子宮頸部リモデリング
,
細胞外マトリクス
,
コラーゲン線維
,
ヒアルロナン
pp.21-26
発行日 2019年3月1日
Published Date 2019/3/1
DOI https://doi.org/10.34449/J0015.26.01_0021-0026
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子宮頸部は血管,線維芽細胞,単球マクロファージなどの間質細胞,平滑筋細胞など多様な細胞とそれら細胞間に存在する細胞外マトリクスにより構成されている。妊娠時の子宮頸部は軟化(soft)から熟化(ripe)へと段階的に変化し,子宮頸管の開大から陣痛発来を迎える。分娩後には修復機転ののち妊娠前の状態に戻るリモデリングが行われる。正期産(parturition)における子宮頸管の生理的変化は早産(preterm labour)と比較して炎症免疫細胞の関与は小さく,炎症性細胞は分娩後の組織修復の主体である。軟化から熟化過程は主として細胞外マトリクスを構成するコラーゲン線維,グリコサミノグリカン,弾性線維の変化によりなされる。特に,成熟コラーゲン線維は線維性コラーゲン分子がグリコサミノグリカンにより架橋を形成し束状となっているが,未熟コラーゲン線維が増加するとともに,線維組織は疎となり軟化していく。また,グリコサミノグリカンの1つであるヒアルロナン(ヒアルロン酸)は間質に多く存在し,軟化から熟化の過程で産生が亢進しコラーゲン線維周囲の水分含量の増加をもたらし膨化,熟化していく。「KEY WORDS」子宮頸部リモデリング,細胞外マトリクス,コラーゲン線維,ヒアルロナン
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