今月の臨床 サイトカインと産婦人科
妊娠とサイトカイン
6.子宮頸部熟化とサイトカイン
平野 秀人
1
,
小原 幹隆
1
,
小川 正樹
1
,
椿 洋光
1
,
田中 俊誠
1
1秋田大学医学部産科婦人科
pp.1060-1063
発行日 1998年8月10日
Published Date 1998/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903370
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子宮頸部熟化現象は炎症反応に類似している
Ligginsは,約20年も前に子宮頸部の熟化現象は,あたかも炎症反応に類似していると述べている1).分子生物学的なレベルで炎症現象をとらえることができるようになった現在,子宮頸部の熟化はまさに局所における炎症反応であることがわかった.それによって,子宮頸部熟化の機序に関する考え方は変わりつつある.
子宮頸部熟化の本態は,細胞外マトリックスの変化であり,大きく①コラーゲン線維の変化と,②グリコサミノグリカンの変化からなっている.これらの変化をコントロールしているメディエーターの一つが炎症性サイトカインであり,そのネットワークが炎症あるいは炎症性刺激を引き金に形成されるところから「子宮頸部熟化現象は炎症反応に類似している」といわれる書切迫早産時にみられる子宮頸部熟化は,細菌感染などによる炎症に起因することがしだいにわかってきているが,満期の分娩時における熟化現象を惹起しているのは何か,についてはいまだ不明である.
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