今月の臨床 分娩誘発と陣痛促進法の見直し―安全な分娩管理を目指して
頸管熟化不全への対応
杉村 基
1
1順天堂大学医学部産婦人科学講座
pp.142-147
発行日 2012年2月10日
Published Date 2012/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102905
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●炎症や子宮頸管の進展刺激などにより誘導されたIL1-β,TNF-α,IL-6,IL-8を中心とした炎症性サイトカインは,正のフィードバックを形成しながら,最終的にプロスタグランジン(prostaglandin : PG)産生を導き,PGE2受容体を介して頸管の熟化が進行する.
●子宮頸管熟化不良状態においては,適応に則って陣痛誘発・陣痛促進を行う場合でも,誘発促進が不成功となる率が上昇する.
●従来よりラミナリア桿をはじめとした機械的頸管熟化法を用いて,熟化を図る工夫を行い,陣痛誘発・陣痛促進が行われてきている.
●初産で,特に大幅に予定日を超えているにもかかわらず子宮頸管熟化不全である例や,予定日前に前期破水となった十分な熟化がない例の取り扱いでは,十分コンセンサスの得られた標準的対処法はない.
●2011年産科ガイドライン上では安全な分娩管理を目指して,極端に熟化不良な子宮頸管例では子宮収縮薬は原則用いない(B)としており,原則を守ることが求められている.
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