特集 オミックスが拓く生殖医学の未来
ゲノミクス(1) 遺伝子データベースを用いた子宮内膜症発症におけるインプリント遺伝子の研究
小林 浩
1
1奈良県立医科大学産婦人科学教室主任教授
pp.39-45
発行日 2015年3月1日
Published Date 2015/3/1
DOI https://doi.org/10.34449/J0015.22.01_0039-0045
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「Summary」子宮内膜症の感受性遺伝子探索法ならびに発症仮説について解説する。感受性遺伝子の全貌を解明できれば,多様な病態を分子レベルで説明することが可能となり,疾患の発症リスクの予測,分子診断や予後の予測,治療効果や副作用の予測,新薬の開発など“テーラーメイド医療”につながる。また,遺伝子データベースを利用したインプリンティング遺伝子座の解析から,子宮内膜症の新しい発生仮説として“胎児期子宮内膜症発生説”を提唱した。「はじめに」子宮内膜症は,慢性,炎症性の増殖性疾患で,1つの遺伝子が規定している単一遺伝子病ではなく,生活習慣病である糖尿病や高血圧症と同様,複数の遺伝的要因と環境要因によって引き起こされる多因子が関連した疾患である。これまで子宮内膜症に罹りやすくなる原因の遺伝子(これを疾患感受性遺伝子と呼ぶ)の探索が行われてきた。さらに,子宮内膜症のメチル化遺伝子群がインプリンティング遺伝子領域の近傍に存在するという事実も浮上し,両者が相まって子宮内膜症という表現型を形成している可能性が考えられる。「Key words」ゲノムインプリンティング,子宮内膜症,疾患感受性遺伝子,胎児期子宮内膜症発生説
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