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アトピー性皮膚炎は,増悪・寛解を繰り返す瘙痒のある湿疹を主病変とする疾患であり,その病態は,皮膚バリア機能異常,炎症,瘙痒・掻破の3つの要素が絡み合って形成される1)。これらの3つの要素において,主に2型ヘルパーT(Th2)細胞から産生されるサイトカイン,インターロイキン(IL)-4,IL-13が重要な役割を果たしている。IL-4/13は表皮ケラチノサイトに作用し,分化障害,フィラグリン発現低下,抗菌ペプチド産生低下を引き起こして,皮膚バリア機能を低下させる。B細胞に作用するとIgE産生を誘導する。また,Th2細胞の分化促進や維持を介して,Th2細胞からのIL-5産生を促すことで好酸球によるアレルギー炎症も引き起こし,IL-31産生を促すことでかゆみを誘発する。さらに最近,IL-4/13が神経に直接作用してかゆみを引き起こすことも報告されている2)。すなわちIL-4/13は,アトピー性皮膚炎の病態に関わる多くの要素に関与している重要なサイトカインである(図1)。IL-4受容体にはⅠ型受容体とⅡ型受容体が存在し,Ⅰ型受容体はIL-4受容体αサブユニット(IL-4Rα)とcommon gamma chain(γc)のヘテロダイマーであり,Ⅱ型受容体はIL-4RαとIL-13Rα1のヘテロダイマーである。デュピルマブは,Ⅰ型受容体およびⅡ型受容体に共通のIL-4Rαに特異的に結合することにより両受容体複合体の形成を阻害し,IL-4/13の両方のシグナル伝達を阻害することで効果を発揮する(図2)。実際に,国際共同第Ⅲ相試験ではデュピルマブは優れた臨床効果を示している。デュピルマブ単独国際共同第Ⅲ相試験では,中等症から重症のアトピー性皮膚炎患者を対象とし,ステロイド外用薬を中止した状態でデュピルマブ300mgを毎週投与群,隔週投与群,プラセボ投与群に分けて16週間投与した後,12週間追跡した。実薬群ではいずれの投与プロトコールにおいても,Investigator's Global Assessment (IGA)スコア0/1達成率が約38%(プラセボ群:約10%),約50%の患者でEASI-75[皮疹の客観的指標であるEczema Area and Severity Index (EASI)スコアが75%以上改善]を達成し(プラセボ群:約15%),プラセボ群と比較して有意に症状を改善した3)。さらに,より実臨床に即したステロイド外用薬併用国際共同第Ⅲ相試験では,ステロイド外用薬を用いた状態でデュピルマブ300mgを毎週投与群,隔週投与群,プラセボ投与群に分けて16週間投与した後,12週間追跡した。IGAスコア0/1達成率は毎週投与群39.2%,隔週投与群38.7%であった(プラセボ群:12%)。また,毎週投与群で63.9%,隔週投与群で68.9%の患者でEASI-75を達成し(プラセボ群:23.2%),この試験においてもプラセボ群と比較して有意に症状を改善した4)。「KEY WORDS」アトピー性皮膚炎,デュピルマブ,IL-4,IL-13
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