連載 Medical Scope
腎性貧血の発症機序と心不全への進展
有里 哲哉
1
,
吉原 史樹
2
1国立循環器病研究センター病院腎臓・高血圧内科
2国立循環器病研究センター病院腎臓・高血圧内科 部長
pp.59-62
発行日 2021年2月20日
Published Date 2021/2/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.39.02_0059-0062
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貧血は慢性腎臓病患者において高頻度に認められ,左室肥大,心不全,心血管疾患,死亡率に悪影響を及ぼす。腎性貧血の主な原因はエリスロポエチンの産生能低下であるが,絶対的・相対的鉄欠乏も大きく関与している。貧血が心不全を増悪させる主な病態として,循環血漿量の増加および末梢血管の拡張が心拍出の増加へつながり,高心拍出の持続により左室肥大,左室リモデリング,左室機能不全へと進展すると考えられている。心不全患者の貧血合併は予後不良因子であるが,低栄養,低アルブミン血症,cachexia,交感神経亢進,高炎症状態などの予後不良因子をもつことも多く,貧血は予後悪化因子であると同時に予後不良予測マーカーでもある点に留意が必要である。
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