特集 ビヨンドコレステロール時代の動脈硬化リスク管理
特集にあたって
松澤 佑次
1
1財団法人住友病院院長
pp.7-7
発行日 2018年10月20日
Published Date 2018/10/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.36.10_0007-0007
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心筋梗塞などの基盤となる動脈硬化の成因研究は,リスクファクターの同定から始まり,検討された多数の関与因子のなかで,最終的に高コレステロール血症,特に高LDLコレステロール血症が,最大のリスクファクターとしてその管理に大きな精力が注がれてきた。1970年代にGoldstein教授,Brown教授が家族性高コレステロール血症をモデルにしてLDL受容体パスウェイを解明し,またその異常が変性(酸化)LDLを介して動脈硬化を発症させることを明快に示すとともに,遠藤章教授のHMG-CoA還元酵素阻害薬の発見を契機とした強力なLDLコレステロール低下薬,スタチンの開発とそれらの臨床研究の成果は,LDLコレステロール対策による動脈硬化発症および進展予防の正当性を十分証明してきたと思われる。最近,LDLコレステロール低下作用のきわめて強力なPCSK9阻害薬の登場によって,LDLコレステロールの制御はかなり完璧にできるようになったが,さらにLDLコレステロールを限りなくゼロに近づけるコンセプトも提案されるなど,今日の動脈硬化対策が,あまりにもLDL-centricになってしまっている傾向までみられる。
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