特集 肥満症とメタボリックシンドローム:予防医学と治療医学の観点から
特集にあたって
松澤 佑次
1
1財団法人住友病院院長
pp.7-8
発行日 2017年11月20日
Published Date 2017/11/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.35.11_0007-0008
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世界的には,肥満の頻度は右肩上がりで増加しており,その増加は止めようがない「Tunami」という言葉で譬えられることもある。しかも,WHOの肥満の定義は,わが国では高度肥満に当たるBMI≧30kg/㎡であり,米国ではすでに全国民の40%に達しているのである。したがって欧米の肥満対策では個々の肥満者に対してきめ細かく対応する余裕がなく,公衆衛生的な対策が主にならざるを得ないのだと思われる。一方わが国は,BMI≧30kg/㎡の頻度は欧米の約10分の1に満たないが,欧米と同様に運動不足と飽食の時代のなかでBMI≧25kg/㎡のわが国の肥満の基準の症例は,男女とも一時期増加傾向にあったが現在も(この10年)全国民中男性約30%,女性約20%が存在しており,やはり生活習慣病の基盤として重要な課題とされているのである。しかも日本人においては,高度肥満が少ないのに,肥満と最も関連する2型糖尿病の頻度は,ほぼ同等であることから,肥満に対する耐性が欧米人より弱いことが考えられる。
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