特集 うつ病診療のトピックス
うつ病と認知症の鑑別を考えた適切な治療
小田 陽彦
1
1兵庫県立ひょうごこころの医療センター 医長
キーワード:
抗うつ薬
,
抗認知症薬
,
睡眠衛生指導
,
うつ病
,
認知症
Keyword:
抗うつ薬
,
抗認知症薬
,
睡眠衛生指導
,
うつ病
,
認知症
pp.35-40
発行日 2017年12月20日
Published Date 2017/12/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.35.12_0035-0040
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65歳以上の患者がうつ症状を訴えた場合,認知症性疾患との鑑別診断を念頭に置かなければならない。主な認知症性疾患であるアルツハイマー病,血管性認知症,レビー小体型認知症,前頭側頭葉変性症とうつ病との鑑別ポイントを表1に示す。とはいえ典型例ならばともかく,非典型例の場合鑑別は困難である。その証拠に現在の認知症臨床診断基準は不完全であると米国神経学会認知症診断ガイドライン1)で指摘されている。米国精神医学会のマニュアル(DSM-5)はうつ病診断基準においてうつ病と診断する前に認知症性疾患などの他の医学的疾患を除外診断するよう求めているが,認知症臨床診断基準は不完全なので認知症除外診断は不可能である。不可能な事を医師に求める米国精神医学会のマニュアルは実臨床では使えない。個々の医師が判断するしかない。うつ病は治療可能性がある一方,認知症性疾患には治療可能性がほとんどない。となれば鑑別が難しい場合まず前者を念頭に置いた治療を行い,前者が否定的とされた場合に後者の可能性を考えるという方針が最良のように思われる。「KEY WORDS」抗うつ薬/抗認知症薬/睡眠衛生指導/うつ病/認知症
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