Japanese
English
特集 糖尿病―心理と行動のサイエンス
精神疾患を持つ糖尿病患者の治療―診断と治療,精神科医との適切な連携のために
Therapeutic strategy of diabetic patients complicated with mental disorders
堀川 直史
1
,
黒澤 亜希子
1
,
松木 秀幸
1
1埼玉医科大学総合医療センター神経精神科
キーワード:
うつ病
,
統合失調症
,
抗うつ薬
,
抗精神病薬
,
リエゾン精神医学
Keyword:
うつ病
,
統合失調症
,
抗うつ薬
,
抗精神病薬
,
リエゾン精神医学
pp.61-65
発行日 2005年1月15日
Published Date 2005/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100627
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
Case 糖尿病に関連する心気妄想のみられた重症うつ病の症例
患者:56歳の女性.2型糖尿病のため52歳から治療(食事療法,運動療法,経口糖尿病薬)を受けていた.まじめで几帳面な性格で,負担だと感じつつ,規則的に通院し,セルフケアを守り,血糖のコントロールも良好であった.56歳の春,転居などのため生活環境が大きく変わった.患者はそれにも適応しようとさまざまな努力をしていたが,約3カ月たったころから,気持ちが沈み,体がだるく,何をする気力もないと感じるようになった.セルフケアも乱れ,空腹時の血糖値が240mg/dLに上昇した.このあと,「目が見えなくなる.透析になる」といいはじめ,悲観的となった.首をつろうとしていたところを家族に発見され,当科を受診し当日入院となった.当院の糖尿病専門医と相談しつつ,抗うつ薬パキシル(R)を20mg/日から開始し,数日後40mg/日に増量した.約2週間で抑うつ症状は改善し,血糖値も正常化したが,セルフケアをきちんと行う自信がないと述べたため,精神科入院のまま,糖尿病教育入院の講義などに参加した.そのあと,セルフケアに関する自信も回復し,約1カ月の入院で退院となった.
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.