文学にみる病いと老い(99)
ゴリオ爺さん
長井 苑子
,
泉 孝英
pp.88-93
発行日 2017年6月20日
Published Date 2017/6/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.35.06_0088-0093
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京都に生まれて,そのまま暮らしていても,外来診療を中心に日々を重ねていると,千年の都,京都の人間模様,社会の構造(しくみ)というものは本当のところわからない。私が勤務している中京区三条高倉の中央診療所は,白川法皇の愛人『待賢門院璋子』の晩地である。平成18年に常勤医として勤務して以来10年が流れた。このあたりでは10年以上そこに居ることが必要で,その間にじんわりと評価されて,はじめて,近隣のおつきあいの声がかかるというものらしい。新しいお店が開店したり,マンションもどんどん建てられる中でも,この『京都スピリット』は健在である。京都の姉妹都市としてはパリがある。京都とパリはよく比べられる。日本人とフランス人とでは,基本的に大いに違いがあるのだが,それでも,最近の京都での医療をめぐる種々の出来事をみていると,医療界の一部と,京都の老舗や裏社会との実は深い結びつきなども推し量られて,この街の歴史がらみの人間模様を感じてしまう。ある知人は,これを『バルザック的風景』と称した。
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