特集 抗血栓療法の最近の動向
日本人の一次予防におけるアスピリンの位置づけ:JPPPの経験から
村田 満
1
1慶應義塾大学医学部臨床検査医学教授
キーワード:
心血管病
,
抗血栓療法
,
一次予防
,
アスピリン
Keyword:
心血管病
,
抗血栓療法
,
一次予防
,
アスピリン
pp.17-20
発行日 2015年5月10日
Published Date 2015/5/10
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.33.05_0017-0020
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「Ⅰ.アスピリンによる心血管病の予防」アスピリンは抗血小板薬として心血管イベントの一次予防や二次予防に用いられている。二次予防については多くの報告があり,これまでのエビデンスの集積から,現在では世界各国のガイドラインで第1選択薬とされている1)。動脈硬化性疾患を有する患者での血栓症再発率を20~30%低下させること,糖尿病患者,高血圧患者など血栓症発症の危険性が高い患者群での血栓症発症予防に有効であることが証明された。その結果に基づき,欧米でのアスピリンによる抗血小板療法に関するガイドラインが作成されている。一方,一次予防については,有効と考えられる報告も多いが,いまだ議論の余地は多い2)。前向きランダム化比較試験(randomized controlled trial;RCT)の最近のメタアナリシス(図1)3)によれば,14研究,107,686人を対象とした解析で,アスピリン群で心血管イベントが10%,心筋梗塞と虚血性脳血管障害がそれぞれ14%低下した。男性で心筋梗塞の減少,女性で虚血性脳血管障害の減少が明らかであったが,全体で脳出血が34%,重大な出血が55%増加している。「KEY WORDS」心血管病,抗血栓療法,一次予防,アスピリン
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