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第1土曜特集 生体システムのレジリエンス――神経–免疫–内分泌連関から探る適応と修復のメカニズム
ミクログリアがもたらす脳のレジリエンスと破綻
Brain resilience and dysfunction mediated by microglia
橋本 明香里
1
,
竹田 育子
1
,
和氣 弘明
1
Akari HASHIMOTO
1
,
Ikuko TAKEDA
1
,
Hiroaki WAKE
1
1名古屋大学大学院医学系研究科分子細胞学
キーワード:
ミクログリア
,
血液脳関門
,
シナプス
,
アルツハイマー病(AD)
Keyword:
ミクログリア
,
血液脳関門
,
シナプス
,
アルツハイマー病(AD)
pp.62-66
発行日 2025年10月4日
Published Date 2025/10/4
DOI https://doi.org/10.32118/ayu295010062
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脳は,神経細胞同士の接続部であるシナプスの強度・効率を調整することで,発達期の神経回路の成熟や学習・記憶の基盤を形成し,環境に適応した能力を獲得する.その一方で,視覚障害などによる感覚入力の喪失,神経の過剰興奮によるてんかん,アルツハイマー病(AD)などの神経変性疾患といった,脳の恒常性を脅かす状況に直面した際には,自己修復能力を示す一方で,逆に生体反応が恒常性の破綻を導いてしまうケースもみられる.このような脳の適応や修復,破綻のメカニズムに,脳の免疫細胞であるミクログリアが関与していることが近年,次々と明らかになっている.本稿では,ミクログリアが持つ脳の適応や修復メカニズム,そしてその破綻に関して述べる.さらに,このような知見をいかした疾患治療の可能性について触れる.

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