特集 遺伝子治療の現在
遺伝子操作Tリンパ球を用いた癌遺伝子治療
塚原 智典
1
1自治医科大学分子病態治療研究センター遺伝子治療研究部講師
キーワード:
癌養子免疫遺伝子療法
,
遺伝子操作T細胞
,
キメラ抗原受容体
Keyword:
癌養子免疫遺伝子療法
,
遺伝子操作T細胞
,
キメラ抗原受容体
pp.41-45
発行日 2015年4月10日
Published Date 2015/4/10
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.33.04_0041-0045
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「はじめに」最近,新たな癌遺伝子治療として,遺伝子操作T細胞を用いた養子免疫遺伝子療法が注目されている。この治療法は,癌患者の末梢血T細胞に腫瘍特異性を付与する目的で,T細胞受容体(T-cell receptor;TCR)もしくはキメラ抗原受容体(chimeric antigen receptor;CAR)遺伝子を導入し,それらを体外で増幅して輸注する方法である1)(図1)。抗体医薬に比べて,T細胞を投与する方法は,抗腫瘍効果がより強力で,効果もより長期間持続すると考えられている。TCRに比べて,CARを用いるアプローチは,簡便性,汎用性に優れており,現在,米国を中心にB細胞性腫瘍に対するCAR発現T細胞を用いた複数の臨床試験が進行中である。本稿では,CAR発現T細胞を用いた養子免疫遺伝子療法の現状について概説する。「Ⅰ.CAR発現T細胞」CARは,T細胞の腫瘍ターゲティングを可能にするツールの1つである。その構造は,腫瘍細胞の表面抗原を認識する単鎖抗体(single chain variable fragment;ScFv)とT細胞を活性化するT細胞受容体CD3ζのシグナルドメインから構成されている(第1世代CAR)2)3)(図2)。「KEY WORDS」癌養子免疫遺伝子療法,遺伝子操作T細胞,キメラ抗原受容体
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