Japanese
English
第5土曜特集 マルチオミクスが解き明かす疾患の本質――統合的アプローチによる新たな知見
疾患別マルチオミクス解析の最新動向
【神経・精神】
睡眠と精神神経疾患
-――病態理解への新たなアプローチ
Sleep and neural diseases
――Novel approaches to understanding pathophysiology
稲垣 史保
1,2
,
田中 拳斗
1
,
林 悠
1,2
Shiho INAGAKI
1,2
,
Kento TANAKA
1
,
Yu HAYASHI
1,2
1東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻
2筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)
キーワード:
睡眠障害
,
アルツハイマー病(AD)
,
パーキンソン病(PD)
,
筋萎縮性側索硬化症(ALS)
,
うつ病
Keyword:
睡眠障害
,
アルツハイマー病(AD)
,
パーキンソン病(PD)
,
筋萎縮性側索硬化症(ALS)
,
うつ病
pp.854-862
発行日 2025年5月31日
Published Date 2025/5/31
DOI https://doi.org/10.32118/ayu293090854
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
睡眠は記憶の固定化やホルモン調節,脳の血液循環活性化など,多岐にわたる役割を担う不可欠な生理状態である一方で,現代社会では多くの人々が睡眠障害に悩まされているのが現状である.代表的な睡眠障害には不眠症,睡眠呼吸障害(SDB),レム睡眠行動障害(RBD),睡眠関連運動障害などがあり,あらゆる年齢層の人々に影響を及ぼしている.特に不眠症は慢性的に続くことが多く,認知機能や情緒に悪影響を及ぼす.睡眠障害は短期的にも長期的にも悪影響を及ぼす可能性が指摘されている.さらに近年の研究では,アルツハイマー病(AD),パーキンソン病(PD),筋萎縮性側索硬化症(ALS)といった神経変性疾患において,睡眠の構造変化や概日リズム障害,不眠症,RBDなどの睡眠障害が発症や進行に関与する可能性も指摘されている.近年,マルチオミクス解析を用いた睡眠研究が盛んに行われており,これにより睡眠の分子的メカニズムを深く理解し,睡眠障害の新たな治療アプローチの開発につながることが期待されている.

Copyright © 2025 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.