特集 分子標的薬を極める-基礎から臨床まで-
分子標的薬の基礎 免疫チェックポイント分子
水谷 輝之
1
,
西川 博嘉
1名古屋大学 大学院医学系研究科微生物・免疫学講座分子細胞免疫学
キーワード:
妊娠
,
免疫寛容
,
自然免疫
,
免疫系疾患
,
リンパ球活性化
,
調節T細胞
,
分子標的治療
,
免疫学的抗腫瘍剤
Keyword:
Immune System Diseases
,
Immunity, Innate
,
Lymphocyte Activation
,
Antineoplastic Agents, Immunological
,
Immune Tolerance
,
Pregnancy
,
Molecular Targeted Therapy
,
T-Lymphocytes, Regulatory
pp.1156-1161
発行日 2020年10月1日
Published Date 2020/10/1
DOI https://doi.org/10.34433/J00525.2021012311
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免疫チェックポイント分子は免疫細胞の異常もしくは過剰な応答の抑制にかかわる分子で、自己免疫、感染免疫、妊娠中の免疫寛容などの幅広い免疫応答に関与し、免疫系の恒常性維持に重要な役割を果たしている。がん細胞は免疫系から逃れて増殖するため、本来は免疫系の恒常性維持に寄与する様々な免疫抑制機序を利用していることが明らかになってきている。近年、がんが利用している免疫チェックポイント分子(免疫共抑制分子)を含む免疫抑制機序を阻害することで、がん細胞に対する宿主の免疫応答が回復し、抗腫瘍効果が認められることが示され、がん免疫療法として臨床応用が進んでいる。現在、様々な免疫チェックポイント分子とそのリガンドが同定され、がん免疫療法に応用されているが、本稿では特に、PD-1、PD-L1、CTLA-4について解説する。
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