特集 産婦人科における素朴な疑問と解説(2)産科編
胎児が免疫で排除されないのはなぜ?
松下 祥
1
1埼玉医科大学 医学部免疫学
キーワード:
HLA抗原
,
胎盤
,
妊娠持続
,
免疫寛容
,
T細胞
,
リンパ球活性化
Keyword:
T-Lymphocytes
,
Lymphocyte Activation
,
HLA Antigens
,
Immune Tolerance
,
Placenta
,
Pregnancy Maintenance
pp.1169-1174
発行日 2022年11月1日
Published Date 2022/11/1
DOI https://doi.org/10.34433/J00525.2023015687
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胎盤の構造や局所的に発現する免疫関連分子が,胎児に対する母親の免疫寛容を成立させている.母体が胎児を免疫学的に排除する機序としては,クームスII型,III型,IV型が関与し得る.しかし,胎盤で母親の組織と接している栄養膜細胞が個体差のないHLA-G分子しか発現していない点,子宮上皮と栄養膜細胞がTGFβ,IL-10,IL-4など,Th1応答を効率的に抑制できるサイトカインを発現している点などが排除の抑制に特に重要である.
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