最新知見で挑むMRSA対策
■MRSA情報のアップデート❷「SHEA/IDSA/APIC急性期ケア病院におけるMRSAの伝播と感染予防のための戦略:2022年改訂版」の要点
中村 茂樹
1
1東京医科大学微生物学分野 主任教授
pp.258-264
発行日 2025年10月15日
Published Date 2025/10/15
DOI https://doi.org/10.34426/ict.0000000581
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メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は医療関連感染の重要な原因菌であり,米国では院内感染症の約10%を占め,患者の死亡リスクを高めることが知られている。2010年代には米国医療機関でMRSA感染症発生率の減少傾向が認められたが,2020年の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック下では院内MRSA菌血症発生率が前年比で15%増加するなど悪化が報告された。こうした背景を受け,米国医療疫学学会(SHEA),米国感染症学会(IDSA)および感染管理疫学専門家協会(APIC)など5団体は共同で,「急性期ケア病院におけるMRSAの伝播と感染予防のための戦略」を2022年に改訂・発表した。本稿では,従来の2014年版と比較しながら,今回改訂された主要なポイントとその意義,および臨床現場への影響について概説する。

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