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■MRSA診療❷MRSA治療におけるバンコマイシンの使い方
尾田 一貴
1
1熊本大学病院薬剤部
pp.276-280
発行日 2025年10月15日
Published Date 2025/10/15
DOI https://doi.org/10.34426/ict.0000000584
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メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus:MRSA)は,医療関連感染の代表的な原因菌の一つである。感染部位は皮膚軟部組織感染症や肺炎などの呼吸器感染症をはじめ,骨髄炎,カテーテル関連血流感染症,心内膜炎,さらには髄膜炎や脳膿瘍などの中枢神経系感染症に至るまで多岐にわたる。これほど多様な感染症に対し,細菌の細胞壁合成を阻害することで殺菌作用を示すバンコマイシンは,組織移行性に若干の差はあるものの,いずれの感染臓器においても一定の治療効果が期待される点で,極めて有用な薬剤である。1960年代後半から抗MRSA薬として臨床使用が開始され,その有効性と安全性は長年にわたり実証され,MRSA感染症に対する第一選択薬として広く使用されている。

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