最新知見で挑むMRSA対策
■MRSA感染対策❷MRSAアウトブレイク―早期察知と早期収束のポイント
山口 哲央
1
1聖マリアンナ医科大学微生物学教室 准教授
pp.294-299
発行日 2025年10月15日
Published Date 2025/10/15
DOI https://doi.org/10.34426/ict.0000000587
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メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus:MRSA)は常在菌でありながら感染症の原因菌となり得る薬剤耐性黄色ブドウ球菌であり,病原性・薬剤耐性・伝播力を兼ね備えた厄介な病原体である。医療関連施設のみならず,市中や家畜など多様な環境で検出されることから,それぞれの環境における疫学情報を把握しておくことが重要である。アウトブレイク対策には平時ベースラインの整備が不可欠であり,これにより異常な変化を早期に察知することが可能となる。伝播の判定には遺伝的相同性解析が必要であり,従来用いられてきたパルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)には限界があるため,必要に応じて全ゲノム解析(WGS)の導入を進めることが求められる。

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