Special feature ハイリスクと闘う新生児医療の感染対策
■Risk & Control 1 新生児医療の病原体リスクとその対策
❷新生児医療の耐性菌リスク
-―NICUサーベイランス動向と監視培養実施の指標
木下 大介
1
1日本赤十字社京都第一赤十字病院 新生児科 副部長
pp.287-292
発行日 2021年10月15日
Published Date 2021/10/15
DOI https://doi.org/10.34426/ict.0000000264
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新生児集中治療室(Neonatal Intensive Care Unit:NICU)に入院する新生児は,未発達な免疫系,皮膚組織の脆弱性などの易感染性患者の特徴に加え,常在細菌叢が未確立であることに起因した多剤耐性菌の保菌リスクが高いなどの特徴を持つ。そのため,一旦敗血症を発症すると,短期的な合併症罹患・死亡率を上昇させるだけでなく,長期的な発達予後にも影響を及ぼす1)。NICUに入院する新生児には日々の頻回な体位交換・栄養・排泄ケアが必要となり,さらに重症児に対しては血管内留置カテーテル・呼吸・経管栄養デバイスを中心とした医療器具の長期留置が必要になる。NICUでの感染対策では,敗血症患者の合併症罹患・死亡を抑制することを大きな目標として,抗菌薬適正使用,医療関連感染(Devices-Associated Healthcare-Associated Infections:DA-HAIs)の抑制,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Methicillin-Resistant Sta-phylococcus aureus:MRSA)をはじめとする多剤耐性菌のアウトブレイクの抑制などが課題としてあげられる。
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