Special feature 診療危機に立ち向かう新型コロナ対策マネジメント
■New perspective 新型コロナから生まれた新しい感染対策の視点
❷ユニバーサルマスキング・N95マスクへの対応
葛原 健太
1
1浜松医療センター 衛生管理室室長補佐 感染管理認定看護師
pp.125-130
発行日 2021年4月15日
Published Date 2021/4/15
DOI https://doi.org/10.34426/ict.0000000226
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2019年12月初旬に中国湖北省武漢市を発生源とする新型肺炎として新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が報告されて以来,世界中の人々の生活は大きく変わった。国をあげて3密(密閉,密集,密接)を避けた行動,手指衛生と連続的なマスク着用による感染予防を啓発し,そして多くの人が行うようになった。COVID-19が発生する前の感染対策は,咳やくしゃみなど呼吸器分泌物を飛散させる可能性のある者に対して,手指衛生とマスク着用,いわゆる「咳エチケット」の啓発と指導を行ってきた。しかし,それでも年間1,000万人以上のインフルエンザ感染者が報告され,医療機関においても院内発生やアウトブレイクの報告が後を絶たない状況であった。その原因として,発症前(潜伏期間)からのウイルスの排出や無症状患者の存在があったことが推察される。COVID-19においては更に潜伏期間中のウイルス排出期間が長く1),感染者の多くが軽症であることから,咳エチケットだけでは感染拡大を防ぐことはできない。呼吸器症状がない人も感染源となる可能性があるため,症状の有無に関わらず,すべての人が公共の場においてマスクを着用する「ユニバーサルマスキング」という感染対策が誕生した2)。もちろん,医療施設は公共の場であることから,施設に訪れるすべての者にマスク着用の理解と協力を今後も求めていく必要がある。
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