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骨導聴力検査:マスキングの方法—オーバーマスキングにならないためには
市島 龍
1
1東邦大学医療センター大森病院耳鼻咽喉科
pp.1116-1117
発行日 2016年10月1日
Published Date 2016/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543206649
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レシーバと音の伝わり方
純音聴力検査を行うにあたり,気導,骨導レシーバから出力された検査音の伝わり方を理解しておくことは重要である.測定した結果がどのような状態を意味しているのか推察することができ,さまざまな聴力結果に対応が可能となる.
気導レシーバの場合,聴力正常者にレシーバを装着し右耳に検査音を出力すると,直ちに右耳(検耳)でその音を聴取することになる.では,右耳が聾で左耳が正常聴力の被検者に同様のことを行うとどうであろう.低音圧では全く検査音の聴取は行われないが,出力が50dB付近で左耳(非検耳)に検査音の聴取が行われる.骨導レシーバの場合は,左右どちらの耳にレシーバを装着していても,検査音は両方の耳(内耳)にほぼ同時に伝わるため,どちら側の結果であるのか判断できない.このような現象を交叉聴取といい,この現象を引き起こす音圧のことを両耳間移行減衰量という.今回の解説では,気導レシーバの両耳間移行減衰量を50dB,骨導レシーバの両耳間移行減衰量を0dBとして記載する.
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