Special feature 知る・学ぶ・実践する 水回りの感染制御
■Approach 3 水回りの感染制御の実践―知っておきたいピットフォールとその対策
❶手洗い器・流し台・汚物処理槽
-―シンク形状の違いを踏まえて
藤原 満里子
1
1千葉大学医学部附属病院 看護部 救急科病棟 感染管理認定看護師
pp.311-317
発行日 2020年10月15日
Published Date 2020/10/15
DOI https://doi.org/10.34426/ict.0000000161
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はじめに
医療現場の手洗い器や流し台などの水回りは,医療従事者の手指や患者へ使用する物品の洗浄,患者が行う手洗いや洗面など清潔を保持するために欠かせない環境である。一方で,その水回りの環境が感染源になることがある。それは,多剤耐性化で問題となる緑膿菌やアシネトバクターなどのブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌や,エンテロバクターやクレブシエラなどの腸内細菌科細菌は湿潤環境を好み容易に増殖するため,水回りの清掃が不十分な状態だと,環境が汚染され感染源となるためである。
しかし,実際の流し台などの湿潤環境の日常清掃のルール化は,感染防止対策加算1算定施設で77.1%,加算2算定施設で62.5%であったとの報告もあり1),必ずしも十分ではない現状がある。
また,多忙である医療現場の清掃は後回しにされやすく,環境汚染が問題となりやすい水回りの環境においては特に注意が必要である。
今回は,湿潤環境で問題となる手洗い器・流し台・汚物処理槽の感染対策について,清掃方法や使用方法,注意を払うべき点や見落としやすい点を重点的に述べる。
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