原著
多槽式屎尿処理槽の研究(第1報)
木村 道也
1
1岡山大学医学部寄生虫学教室
pp.44-46
発行日 1956年12月15日
Published Date 1956/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201773
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緒論
古来我が国に於ける屎尿は専ら農村に於て肥料として用いられていたが,近時化学肥料の増産進出はめざましく,併せて有畜農業の普及は従来唯一の処理法であつた農村還元の行き詰りとなり各地の野壼,貯留槽は常に充満し,更に溢れ出でて処置の方法もなく,遂には庭の空地に埋没し,或は夜間密に河川に投棄する等非衛生極まりない方法も行われている有様で,これらは現今至る所に仄聞される所である。従つてこれが対策に各方面の権威者の研究実験があり,一部は既に実際施設され運行されてはいるが,巨額の施設費更に維持費を要し,又運行不可能となつたものもあるようである。山口左仲教授は時期の如何を問わず,虫卵,病源細菌,嚢子等の完全なる滅殺が行われ,設備簡単にして巨額の費用を要さず,運営容易にして故障の恐れもなく,危険性を伴わず維持費も僅少で足る経済的施設で然も全く無害に河川に放流可能な方法を考案された。なお又肥料として用いる要ある時は勿論安全無害な完熟肥料として使用し得られるものである。
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