連載 見直そう「儀式」「習慣」だらけの感染管理・2
手洗い!手洗い!手洗い!
土井 英史
1,2,3,4
1関西労災病院
2岸和田徳洲会病院
3セコメディック病院
4ヘルスケアリソース研究所
pp.680-681
発行日 2000年8月10日
Published Date 2000/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686902003
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Infection Controlにおける「手洗い」は,EBM(Evidence Based Medicine)からもその重要性が認められています。たとえば,ICUで手洗いの必要性を教育し,必要な回数の手洗いをすることで,感染率が明らかに低下することがわかっています。しかし,残念ながら,「知っているけど行なわない」「行なえない」という場合もあるようです。いったい何が障害になっているのでしょうか? 正確な知識がなくて行なえないのか? 業務が多忙すぎて行なえないのか? それとも人が見ていないから行なわないのでしょうか? どのような理由であれ,医療のプロとしては失格です。社会においてプロがプロとしての仕事を放棄すれば,秩序ある社会が保てなくなるのです。医療での手洗いも,これと何ら変わるものではありません。
それでは,「手洗い」をするように仕向けるために,どのような戦略が必要なのでしょうか? この問題に対する答は簡単ではありません。単なる啓発だけでは,それまでの慣行を改善できないことは,大学病院ICU入室時の手洗い実施率の報告を見てもわかります。ただ単に動機づけだけでは行動が伴わないのです。行動変容を促すには,さまざまな方法論で,繰り返し継続して啓発することがきわめて重要です。一方的な講義形式の教育方法による知識の残存率は5%にすぎないと指摘されています。
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