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はじめに
内視鏡検査・治療で使用されたスコープ(特に挿入部外装および吸引・鉗子チャンネル)は,粘液,血液,微細組織片,糞便といった有機物によって高度に汚染された状態である。スコープや処置具に付着した有機物は,乾燥して固着させてしまうと除去することが困難となる。そのため,再生処理が認められている器材は,Spauldingの分類が示す適切な再生処理が迅速に施され,提供する器材として品質が管理されていなければならない。
スコープが再生処理される工程において,主に手作業での消毒処理(用手消毒)を代行させる目的で洗浄・消毒装置の導入が標準化されつつある。しかし,スコープの回収から用手洗浄までの工程が確かなものでなければ,洗浄・消毒装置の性能が遺憾なく発揮されることはない。つまり,提供するスコープの品質に再現性を得ることはできないのである。そのため,臨床において問われているのは導入した装置が適切に使用されているかの評価であり “バリデーション” とは装置の仕様,動作工程を正しく認識するとともに,「その性能が遺憾なく発揮されているか?」を検証し,評価することに他ならない。それ故に,洗浄・消毒のバリデーションとは,提供するスコープの質を左右する洗浄・消毒装置の工程に着目した,日常点検であり,薬液の濃度管理および清浄化管理,そして定期点検ということになる。
そこで,本項ではスコープおよび洗浄・消毒装置の添付文書ならびに取扱説明書(以下,取説)に記載されている『Spauldingの分類』『高水準消毒薬と洗浄・消毒装置』『洗浄・消毒装置の処理工程』『洗浄・消毒装置の使い方』『洗浄・消毒装置の保守管理』といった項目に着目し,洗浄・消毒装置のバリデーションについて簡潔にまとめてみた。
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