Japanese
English
特集 認知症ケアのプラットフォーム
バリデーションとユマニチュード
“Validation” and “Humanitude”
村山 明彦
1
,
山口 智晴
1
Akihiko Murayama
1
,
Tomoharu Yamaguchi
1
1群馬医療福祉大学リハビリテーション学部
1Faculty of Rehabilitation, Gunma University of Health and Welfare
キーワード:
バリデーション
,
ユマニチュード
,
ケアモデル
,
ケアの相互関係
,
安全管理
Keyword:
バリデーション
,
ユマニチュード
,
ケアモデル
,
ケアの相互関係
,
安全管理
pp.933-938
発行日 2020年10月10日
Published Date 2020/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202051
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はじめに
認知機能の病的な低下だけでなく,それにより社会生活に支障を来した状態が認知症であるにもかかわらず,認知機能の低下や精神症状ばかりが着目され,認知症高齢者の生活上の問題が見落とされがちな対応を目にすることがある.現時点で多くの認知症の原因疾患に対する根治療法がないからこそ,生活の困りごとをいかに解決していくかが大切であり,そこで重要になるのが認知症の人とのコミュニケーションである1).近年は,特別養護老人ホームや介護老人保健施設だけでなく,介護付き有料老人ホームなどの高齢者向け住まいや在宅で生活する認知症高齢者も増えている.そのため,通院や通所,訪問系サービスの利用場面など,さまざまな場面で認知症高齢者のコミュニケーションや関係性構築がわれわれに求められる.
認知症高齢者のケアには介護者の主観的な判断が数多く含まれ,個人の経験として内在化されやすい2)が,ケアにおける不確かで暖味な感覚にこそ,重要なケアの根拠が含まれているとの指摘もある3).一方で,優れたコミュニケーションスキルで対象者との関係性を構築することに長けた介護者であったとしても,安全性が考慮されていなければ本末転倒である.以上より本稿では,まず認知症高齢者との代表的なコミュニケーション法であるバリデーションとユマニチュードについて紹介する.次に,介護者の主観的な判断を可視化することの重要性について言及する.さらに,これらの方法を活用することの意義を安全管理の観点から解説し,実践への提言を行う.
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