Special feature 正しい選択と手順による 病院清掃のための『拭き消毒』
■Practice 場所別 画像と実践チェックリストで学ぶ『拭き消毒』ガイド
❷集中治療室
大石 努
1
1関西医科大学附属病院 GICU/感染制御部兼務 管理師長 感染管理認定看護師
pp.52-56
発行日 2020年1月15日
Published Date 2020/1/15
DOI https://doi.org/10.34426/ict.0000000100
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はじめに
集中治療とは,「生命の危機にある重症患者を,24時間の濃密な観察のもとに,先進医療技術を駆使して集中的に治療するもの」であり,集中治療室(ICU)とは,「集中治療のために濃密な診療体制とモニタリング用機器,ならびに生命維持装置などの高度の診療機器を整備した診療単位」1)と定義されている。定義の通り,ICUにおいて重症患者に対する濃密な治療とケアは必要不可欠な医療行為ではあるが,清潔操作やコンタクトポイントが著しく増えるなど,一般病棟に比べると感染対策上のリスクが高くなるのは当然のことである。また挿管チューブをはじめ,中心静脈カテーテルや観血的動脈圧カテーテル,尿道留置カテーテルなどのカテーテル類が患者に挿入されていることが多く,血液や体液に触れる機会が多くなると同時に,操作の過程で患者環境周囲が汚染される頻度も高くなる。例えば,開放式吸引を実施する際に,医療従事者がマスク,エプロン,手袋,ゴーグルなどの個人防護具を着用し,血液・体液曝露予防の対策を実施していても,操作の過程で人工呼吸器のタッチパネルや吸引ボトルの圧ダイアルに触れる行為は必然的に発生するため,患者の血液や体液で環境が汚染されてしまうリスクが高い。よって,ICUはコンタクトポイントが多く,環境が汚染されるリスクが高い場所であるため,『拭き消毒』を中心とした環境の清浄化は重要な感染予防策となる。
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