Special feature 正しい選択と手順による 病院清掃のための『拭き消毒』
■Practice 場所別 画像と実践チェックリストで学ぶ『拭き消毒』ガイド
❶手術室
森 広史
1
1東海大学医学部付属八王子病院 看護部 主任 感染管理認定看護師
pp.46-51
発行日 2020年1月15日
Published Date 2020/1/15
DOI https://doi.org/10.34426/ict.0000000099
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はじめに
手術室内は,手術操作に伴う術野からの血液・体液の曝露などによる汚染を受けやすく,手術操作および外回りのスタッフによる複雑な業務内容から汚染が拡大しやすい環境にある。『WHO安全な手術のためのガイドライン2009』1)では,「患者,手術およびチームが手術に持ち込むリスクに加えて,手術室環境もまた患者にリスクをもたらす。」と述べられている。患者のリスクとは患者の安全が脅かされることであるが,本稿ではその中でも特に手術部位感染(Surgical Site Infection:SSI)を最大のリスクとして考える。それと同時に手術室内で働く医療従事者の感染リスク,いわゆる職業感染のリスクとも言える。そのようなリスクを低減させるためにも,手術室内の日常的な清掃は大変重要であり,より適切な内容が求められる。日本手術医学会の『手術医療の実践ガイドライン(改訂第三版)』(2019年)2)では,「手術室を清浄化するために最も重要なことは術野への汚染防止を中心とした日常的な清掃を適切に行うことである。手術室全体を無菌化しようとするものではない。」と述べており,清潔区域とされる手術室においても過度な清浄化を目指すことなく,重要なポイントを抑えつつ,日常的に行う適切な清掃方法が必要であるとしている。
今回,手術室における『拭き消毒』の対象として重要な場所,およびピットフォールになりやすい場所,そして適切な拭き消毒の方法について,一般的に論じられる内容から各種文献で記されている内容を参考に,東海大学医学部付属八王子病院(当院)での実例をもとに述べる。
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