神経・筋疾患治療の最前線
8.脊髄性筋萎縮症
齊藤 利雄
1
,
西尾 久英
2
1国立病院機構大阪刀根山医療センター小児神経内科
2神戸学院大学総合リハビリテーション学部作業療法学科
キーワード:
脊髄性筋萎縮症
,
SMA
,
SMN1遺伝子
,
ヌシネルセン
,
オナセムノゲン
,
アベパルボベク
,
リスジプラム
Keyword:
脊髄性筋萎縮症
,
SMA
,
SMN1遺伝子
,
ヌシネルセン
,
オナセムノゲン
,
アベパルボベク
,
リスジプラム
pp.836-841
発行日 2026年7月15日
Published Date 2026/7/15
DOI https://doi.org/10.32118/cr035080836
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はじめに
脊髄性筋萎縮症(spinal muscular atrophy;SMA)は,脊髄前角細胞の変性・脱落による,四肢体幹の筋萎縮・筋力低下による運動障害を呈す運動ニューロン疾患である 1-3).国内の有病率は約10万人に1人,発生率は約2万出生に1人と報告されている 4).
最も頻度が高いのは,5番染色体長腕に位置するSurvival Motor Neuron 1(SMN1)遺伝子の欠失または変異によって引き起こされるSMAであり,常染色体潜性遺伝形式をとる.SMN1遺伝子欠失はSMA患者の約95%に認められる 5).SMN1遺伝子は,1995年,Lefebvreらによって発見・同定された 6).これ以降,SMAの分子遺伝学的研究は急速に進んだ.
従来,SMAの治療といえば,リハビリテーション,呼吸不全治療,栄養管理といった対症的集学的治療が中心であった.SMA自体の治療というよりは,SMA患者に現れる2次的な病態-合併症の治療に終始せざるを得なかった.しかし,1995年のSMN1遺伝子の発見からおよそ20年経って,SMAの1次的な病態を治療する疾患修飾薬が上市され,現在SMAは「治らない」病気ではなくなろうとしている.
本論文は,SMAの分子遺伝学的背景,臨床病型,疾患修飾薬による新規治療,合併症に対する対症的集学的治療,およびリハビリテーション(運動機能評価とロボットスーツ)について概説するものである.

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