医療機関における運転指導
3.ブレーキ踏み間違い事故と高齢者の運動制御の変化
藤田 和樹
1
1福井医療大学保健医療学部リハビリテーション学科
キーワード:
交通事故
,
自動車
,
ペダルエラー
,
老化
,
暴走事故
Keyword:
交通事故
,
自動車
,
ペダルエラー
,
老化
,
暴走事故
pp.309-314
発行日 2026年3月15日
Published Date 2026/3/15
DOI https://doi.org/10.32118/cr035030309
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はじめに
自動車の制動技術は進化を遂げているものの, アクセルとブレーキの踏み間違い事故は依然として後を絶たない.国内では2018~2020年の間に約9,700件,米国では年間16,000件ほど発生しているとされ,軽微な被害にとどまらず重大事故に至る例も少なくない 1, 2).とりわけ高齢運転者による発生率が高く,2021年における死亡事故の人的要因統計で踏み間違いが占める割合は, 75歳未満の1%に対し, 75歳以上では7.6%と顕著な差がある 3).
こうした背景を受け,日本では新型車への衝突被害軽減ブレーキ(AEB)搭載を義務づける制度や,既存車両への後付け装置の補助金制度が導入された.しかし,2022年以降も高齢者の踏み間違いに起因する死亡事故の割合は減少傾向を示さず,むしろ2024年上半期には14.3%に達している 3).この一因として,AEBの性能や作動条件がメーカーによって異なり,すべての状況で事故を防げるわけではないという課題がある.また,交差点や高速走行中等,現行の技術では対応が難しいケースも報告されている 4).こうした限界を踏まえると,技術的な支援に加え,踏み間違いの背景にある加齢に伴う身体・認知機能の変化に対する理解と対策も不可欠である.

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