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内容のポイント Q&A
Q1 SMDに対する拡散型圧力波治療の効果は?
体外衝撃波治療(extracorporeal shock wave therapy;ESWT)による痙縮治療効果は,多くのランダム化比較試験により示されており,近年注目を集めている.衝撃波を発生させる機器はエネルギーの形態により,収束型と拡散型の2種類に分類される.拡散型は筋・腱組織に広く浅く作用し,痙縮治療に用いられているとの報告が多く,初台リハビリテーション病院でも拡散型の機器を採用している.体外衝撃波による痙縮治療効果の作用機序については,いくつかの仮説があるものの,いまだ明確には解明されていない.
Q2 SMDに対する拡散型圧力波治療の臨床利用は?
拡散型圧力波による痙縮治療効果は,速効性があり,回復期や外来におけるリハビリテーション治療の効果増大が期待されている.機器は軽量で持ち運びが可能なため,リハビリテーション室や病棟のベッドサイドでも使用されている.訓練の開始時に拡散型圧力波治療を施行することで,その直後に行う可動域訓練や歩行訓練,生活機能訓練等の効率を向上させ,訓練後も持続するSMDの改善が得られている.体外衝撃波の有害事象については,これまで重大な合併症の報告はない.
Q3 SMDを防ぐためにはいつから開始すべきか?
脳卒中発症後早期におけるボツリヌス療法は,長期的な予後改善のみならず,医療コストの軽減にも寄与することが近年の研究によって示されている.回復期においては,痙縮がリハビリテーション治療,生活動作訓練等の支障となり,SMDが引き起こされる前の早期から痙縮治療を開始することが望ましい.拡散型圧力波による痙縮治療も,ボツリヌス療法と同様に,より早期に施行することで予後の改善が期待されると考えている.
Q4 拡散型圧力波と,他の痙縮治療との併用効果は?
拡散型圧力波治療は,低侵襲でありランニングコストが低く,他のリハビリテーション治療と併用しやすいという利点がある.拡散型圧力波治療とボツリヌス療法の併用については,多くの比較研究が行われている.ボツリヌス療法の効果を増強し,また効果作用持続期間を延長させる可能性が示唆されている.ボツリヌス療法の課題である高コストや,効果減衰に対して,拡散型圧力波治療を併用することで,SMDの予防,改善のために寄与できることが期待されている.

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