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内容のポイント Q&A
Q1 SMDを防ぐための運動療法は?
SMDを防ぐためには,運動と感覚のミスマッチを修正する治療が重要であり,正常に近い筋活動パターンの再学習が求められる.課題特異的トレーニングを中心に,mirror therapyやVRによる運動錯覚,筋電図バイオフィードバック(EMGBF),FES等の感覚フィードバックを併用することで,適切な運動学習が促される.また,誤った運動方法の反復による誤学習を防ぐため,動作時の筋活動の評価を随時行いながら訓練することが重要である.
Q2 SMDを防ぐための下肢装具療法は?
SMDを予防する装具療法では,異常な筋活動を誘発しない設定が必要である.たとえば,油圧制動足継手を用いることで過剰な下腿三頭筋の活動を抑え,正常歩行に近い筋活動を誘導できる.また,足関節の運動軸と一致した継手設定や,適切な膝継手の使用によって,不適切な筋の同時収縮や異常歩行パターンの学習を回避できる.装具は常に個々の動作中の筋活動を評価しながら最適化し,病態に即した選定を行うことが求められる.
Q3 運動療法と装具療法はいつ開始したらよいか?
運動療法と装具療法は,可能な限り早期,すなわち発症直後から開始するべきである.発症初期から誤った運動方法を繰り返すと,誤学習が進行しSMDの形成につながるため,早期から正常な筋活動を誘導する装具を用い,適切な運動パターンの学習を並行して進めることが重要である.また,病態に応じて評価を重ねながら,適切な課題難易度の設定とともに,安全な環境でのトレーニングが求められる.
Q4 運動療法と装具療法はどのような効果をもたらすか?
運動療法は,感覚と運動の統合を図ることで,適切な運動パターンの再学習を促し,異常筋活動の抑制や運動機能の改善に寄与する.装具療法は,過剰な筋活動を抑え,支持性や運動効率を高めることで,正常歩行に近い運動様式を獲得させる.両者を併用することで,誤学習を防ぎ,SMDの進行を抑制するとともに,動作の安定性と効率の向上が期待される.

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