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内容のポイント Q&A
Q1 認知症者の摂食嚥下障害の特徴は?
認知症者では認知症の原因疾患によって摂食嚥下障害の症状が大きく異なる.アルツハイマー型認知症では,食べない,飲み込まない等の食行動の障害が問題となり,誤嚥がみられるのは終末期になってからである.レビー小体型認知症では早期から誤嚥がみられ,臨床上対応すべき問題となる.前頭側頭型認知症では嗜好の変化や偏食が特徴的な症状となる.
Q2 認知症者の摂食嚥下障害の評価法は?
臨床では嚥下機能検査,食事観察,臨床推論が有用である.嚥下機能検査には嚥下造影検査と嚥下内視鏡検査があり,咽頭期(誤嚥)の評価に用いられる.食事観察は,嚥下機能検査ではみることができない食行動の障害を評価するのに適している.純粋な摂食嚥下障害の評価ではないが,臨床推論による認知症原因疾患の推察も,食支援方法の決定や予後予測に役に立つ.
Q3 認知症者の摂食嚥下障害の治療法は?
認知症者は意思疎通が難しいため嚥下訓練の適用が難しい.加えて認知症は進行性疾患であり,その進行に訓練で抗うことは理論的に不可能である.認知症者においては「訓練=キュア」ではなく,「支援=ケア」主体の嚥下リハビリテーション(以下,リハ)のほうが相性がよい.効果的なケアを行うには原因疾患の把握が重要であり,「原因疾患ごとの特徴を加味したケア」が認知症者の嚥下リハの最重要ポイントとなる.
Q4 リハビリテーション治療の効果は?
嚥下訓練による機能改善の効果は極めて限定的であり,機能改善を目指したリハ治療は不毛に終わる.一方,機能改善しなくても「現存の機能を生かした食の支援」を行うことで(疾患進行による限界はあるが)安全な経口摂取が可能となる.神経変性疾患である認知症者においてケア主体のリハ治療が果たす役割は大きい.

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