認知症の基礎知識とリハビリテーション
8. 認知症と嚥下障害
野原 幹司
1
1大阪大学大学院歯学研究科顎口腔機能治療学講座
キーワード:
嚥下障害
,
アルツハイマー型認知症
,
レビー小体型認知症
,
前頭側頭型認知症
Keyword:
嚥下障害
,
アルツハイマー型認知症
,
レビー小体型認知症
,
前頭側頭型認知症
pp.178-182
発行日 2024年2月15日
Published Date 2024/2/15
DOI https://doi.org/10.32118/cr033020178
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はじめに
認知症高齢者の嚥下障害の増加
日本は世界に先駆けて超高齢社会となり,嚥下障害を有する患者の傾向にも変化がみられている.大きな傾向としては,嚥下障害の原因疾患として脳血管系が減少し,肺炎後廃用や認知機能低下といった内科疾患の割合が増加している 1).読者の方々の病院・施設でも,単純な脳卒中後の嚥下障害例は減少し,意思疎通が困難な認知症の症例が増加していることを感じておられるであろう.したがって現場では,「脳卒中後の嚥下障害」だけでなく「認知症の嚥下障害」への対応が求められるようになっている.脳卒中後でも認知症でも,「どちらも同じ嚥下障害」という考えもあるかもしれない.しかし,同じ嚥下障害と一括りにして同じアプローチを行うと,うまく事が運ぶこともあるが,うまくいかないことも多い.それは「原因となる疾患が異なるから」である.
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