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内容のポイント Q&A
Q1 定義や目的は?
Cardio-Oncology Rehabilitation(腫瘍循環器リハビリテーション,以下CORE)は,がん患者とがんサバイバーに対する心臓リハビリテーション(以下,心リハ)である.個々の心リハ患者の「医学的評価・運動処方に基づく運動療法・冠危険因子是正・患者教育およびカウンセリング・最適薬物治療」を多職種チームが協働して実践する長期にわたる多面的・包括的プログラムによる一次・二次予防の考え方を踏襲した治療戦略により,がん患者とがんサバイバーにおける心血管疾患リスクを軽減することを目的としている.
Q2 がん診療における位置付け,ベストプラクティスは?
運動療法の有効な効果として,心肺機能の向上のみならず,がんの再発リスクの低減,心血管疾患の減少,死亡率低下,症状やQOLの改善まで多岐にわたる.すべてのがん患者に対して,運動療法と治療の最適化,生活習慣のアドバイス,冠危険因子のコントロール,心理的支援に基づく集学的アプローチが強く推奨される.
Q3 リハビリテーション専門職の役割は?
一般的な注意事項に加えて,がん患者特有のチェックポイントがあり,これらに注意して,安全に運動負荷試験と運動療法を実施する.また,心リハプログラムの主要項目に対して,COREに特有の考慮すべきポイントがあり,リハビリテーション専門職で理解し共有する必要がある.がん患者における運動処方の主な推奨事項は,種類と頻度,継続時間,強度を意識して,患者の状況を判断しながら徐々に調整していくことである.
Q4 学術的な位置付け,エビデンスは?
COREは,心リハの新たな学際領域として,大変注目されている.多くのエビデンスが出始めており,中でも3つのレビュー論文(腫瘍循環器に運動を取り込むことの重要性,がん治療による運動耐容能の低下の機序と介入方法,アントラサイクリンによる心筋障害)は網羅的にまとめられており,これらは一読しておきたい.
Q5 今後の展開は?
がん専門施設等でもCOREの導入が必要になってくることが想定され,そのためにはがん専門施設における腫瘍循環器にかかわる循環器内科医だけではなく,看護師,理学療法士を中心とした心リハ指導士の育成が重要である.また,現在のところ,腫瘍循環器リハビリテーションとしての保険点数が認められていない状況であり,日本からもCOREのエビデンス構築と同時に学会として行政への働きかけも必要である.
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