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はじめに
心不全は冠動脈疾患,弁膜症,心筋症,高血圧など多くの心臓疾患を背景にして発症する終末像であり,どの年齢でも発症するが特に高齢者に多く発症する.再入院を繰り返す患者が多いため患者の予後にも医療経済的にも大きな問題であり,それを減らすことはきわめて重要な治療の目的の1つである.また,心不全増悪に伴い心肺機能および筋力の低下に伴う運動耐容能や身体機能の低下が大きな問題となっており,心臓リハビリテーションはその改善を1つの目的として行われる.
心不全患者への包括的な心臓リハビリテーションの有用性については,すでに十分なエビデンスをもって確立され1),多くの施設で心臓リハビリテーションの施設基準が認可されるようになっている.日本循環器学会の循環器疾患診療実態調査(JROAD)のデータベースによれば,心臓リハビリテーション認定施設は2009年に370施設であったが,2015年には881施設まで年々増加し,日本各地で心臓リハビリテーションの実施施設は増加してきている.また,図1に示すように2)疾患別にみるとJROAD登録施設における急性心筋梗塞患者数は約7万人程度,心臓外科手術数も66,000〜68,000件程度で横ばいであるのに対して,2015年心不全の入院患者数は約24万人と約3倍以上であり,JROADの統計が取られ始めた2012年から経年的に毎年患者数が約1万人以上増加しており,心不全患者における心臓リハビリテーションの重要性が認識される.
米国公衆衛生局の定義(1995)によれば,心臓リハビリテーションとは,
①医学的な評価
②運動処方
③冠危険因子の是正
④教育およびカウンセリング
から成り立つとされ,大きく運動療法と疾患指導の2つに分けられる.これらを医師,看護師,理学療法士,栄養士,薬剤師など多職種のかかわるチーム医療で行うことが推奨されている.
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