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内容のポイント Q&A
Q1 定義や目的は?
Exercise Oncology(運動腫瘍学)とは,がん患者の運動や身体活動に着目した新しい学問領域であり,「がん予防,がん治療,がんリハビリテーション,緩和ケア,がんサバイバーシップケア等において,身体活動・運動がもたらす効用を考え,個々人に最適な身体活動・運動を提供・提案すること」を目指している.Exercise Oncologyにおいては,時期によってその主たる目標が変化する.がん罹患前ではがん発症予防,がん治療中では機能回復,症状緩和,生命予後・健康寿命の延長等が主な目標となる.がん治療後においても生命予後・健康寿命の延長が主な目標となり,あらゆる時期で生活の質(QOL)の維持・向上も目標となる.
Q2 がん診療における位置づけ,ベストプラクティスは?
がん患者において運動や身体活動の効果は運動機能や倦怠感,QOL等の改善にとどまらず,生命予後や健康寿命の延長をもたらし得る.したがって,Exercise Oncologyの意義は単に支持療法の一環としてとらえるのではなく,治療的な意味合いをもつ可能性がある.がん罹患前から治療中・治療後といずれの時期にも運動や身体活動を意識的に行うべきである.
Q3 リハビリテーション専門職の役割は?
リハビリテーション専門職は主に治療中のがん患者を扱うことになるため,常にリスク管理を意識する必要がある.
Q4 学術的な位置づけ,エビデンスは?
運動や身体活動により,運動機能や倦怠感,QOL等の改善効果が示されており,一定のエビデンスが存在している.しかし,現時点では報告されているがん種に偏りがある,再発予防や生命予後をアウトカムとする報告の多くは観察研究であり,ランダム化比較試験等の介入によってその効果を示した研究は少ない等の課題がある.
Q5 今後の展開は?
地方自治体や民間業者が運営する運動・スポーツ施設の活用等によって,リハビリテーションでカバーできない部分を補うことが必要になると考えられる.また,医療者だけでなく,運動・スポーツ科学の専門家や一般市民にも運動や身体活動の重要性を広めていく取り組みを通じて協働する必要があると考えられる.
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