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はじめに
~大腿義足リハビリテーションの課題~
大腿切断者の義足リハビリテーションにはいくつかの課題がある.大腿切断を施行された多くの患者は回復期病院に転院するが,ほとんどの回復期病院では年間に数名の切断患者を受け入れる程度で,義足リハビリテーションの専門的な病院は少ない.また多くの症例は高齢で,糖尿病や末梢動脈疾患による切断が多いため,合併症や併存疾患,廃用の影響を受けている.また手術を施行する病院により術式や術後の管理が異なり,義足製作に大きく影響する「断端浮腫の管理」がさまざまである.そのため,義足適応の判断,および義足採型時期の決定に迷うといった課題が生じる.
義足適応の判断とは,義足の適応の有無を合理的に判断するか,またどのような機能部品(固定膝か遊動膝か,等)を決定することである.たとえば片脚立位や100 m歩行能力が自立歩行の予測因子であるという報告がある 1)が,低活動者の場合,獲得し得る歩行能力が限定的であっても,室内移動・トランスファーや介護量の軽減,ADLの改善,本人の意欲や希望等,さまざまな因子を考慮する必要がある.
義足採型時期は,断端の浮腫が軽減されたときが望ましいが,全く断端管理がなされないまま転院してきた症例では,数週間を要することもある.この期間での廃用や認知機能低下のリスク,入院期間を考慮すると,早期リハビリテーションが望ましいことはいうまでもない.しかし早期に義足ソケットを製作すると,周径変化に伴い頻回な調節が必要となる.
ギプスを用いたキャストソケット(簡易ソケット)を製作する方法 2)もあるが,保険点数の対象となっておらず,製作に時間と経験が必要である.
以上の難しい課題を,大腿患者の受け入れ経験の少ない回復期病院のリハビリテーションチームが解決する方法が必要である.特に経験の少ないリハビリテーションチームがこれらの課題に取り組むことは困難が多い.本稿で取り上げる「CONNECT® TF」は,この課題に非常に大きな恩恵をもたらすものである.
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