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Q1 在宅におけるリハビリテーション医療でのSTの役割は何か? 主に摂食嚥下障害とコミュニケーション障害に対するリハビリテーションが中心となる.両者とも患者の尊厳につながる,"人間として生きる"を支える重要な支援である.STは患者と家族に寄り添いながら,誤嚥性肺炎等の二次疾患の予防やシームレスなコミュニケーション手段の確保に注力する. Q2 そのリハビリテーションの目的は何か? 摂食嚥下障害に対するアプローチの目的は本人の希望に沿って安全な経口摂取を長く継続することである.その過程でSTは窒息や誤嚥性肺炎のリスクとのバランスを取りながら,"味わう"ことを長く継続できるようにサポートする.コミュニケーション障害に対しては,早期から症状の進行を見据えた代替手段の導入準備と訓練を行う.これにより,代償手段を習熟する時間を確保し,スムーズな移行が実現できる. Q3 リハビリテーションの効果は? パーキンソン病に対する音声治療として高い効果が認められている訓練にLSVT(Lee Silverman voice treatment,エビデンスレベルⅠ)があり,長期的な訓練効果が得られることが示されている 1).その他にもパーキンソン病に対する嚥下訓練のエビデンスやQOLの改善を示したとするレビュー 2)も存在する.神経難病に対する言語聴覚療法の有効性については未だ十分なエビデンスの蓄積がされていないのが現状であるが,患者のQOL向上のための介入が一貫して求められている 3). Q4 今後の課題は? 在宅医療の分野では言語聴覚士の絶対数が他のリハビリテーション職に比べ不足しており 4),必要としている人にサービスが行き届いていない可能性がある.また,在宅STは難病リハビリテーションに対する豊かな経験と難しい臨床的判断が求められる.そのため,経験が浅いSTにとっては,難病支援の難しさに直面したり,1人では解決できない場面に遭遇することも多い.今後は,難病を支援するST同士がシームレスに連携できるよう,ICT等を活用した技術の進歩にも期待したい.
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