5．下肢装具（補装具）

はじめに

下肢装具（補装具）は移動にかかわる装具であり，日常生活上，職業上，教育上，余暇や趣味等，活動上，欠かせないものである．また，疾病の病状によっては関節変形等の二次的障害を引き起こす場合もあり，下肢装具の継続的装着，調整は，予防的な観点からも重要である．しかしながら，急性期，亜急性期の治療を終えて生活期に入ると，装具の装着を止めたり，体に合わなくなったり，装具に不具合を生じていることも少なくない．補装具の巡回相談では，装具を作って以来，下肢のことで医療機関を1度も受診したことがなく，既に足部の変形をきたしている状況に遭遇することもある．生活期での下肢装具の適切な管理は大きな課題であり，リハビリテーション（以下リハ）関連職種が大きくかかわる必要のある分野と考えられる．本稿では，生活期での下肢装具（補装具）の管理に必要な装具の劣化・破損，不適合のチェックポイントを中心に解説する．