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はじめに
プラスチックを,はじめて短下肢装具の材料として取り入れたのは,私の知るかぎりでは,Simonsら1)である.以来,プラスチック装具の普及はめざましく,短下肢装具の領域では,金属支柱付装具を凌駕しつつある.
プラスチック製短下肢装具(以下プラスチツクAFOと略)の製作数についての報告によると,佐鹿ら2)は,1975年10月より2年間で,痙性麻痺27例に,プラスチックAFOを,21例に,金属支柱付短下肢装具を処方している.石神ら3)の,1977年3月より半年間に脳卒中後遺症片麻痺患者に処方した短下肢装具の分析によると,処方された装具は,総数で104個,そのうちプラスチックAFOは82個であった.渡辺4)は,熊本大学附属病院理学療法部において,1978年9月より2年間に,短下肢装具を44個処方し,そのうちプラスチックAFOは25個であった.川崎医科大学リハビリテーション科のブレース・クリニックで,1986年6月10日から1988年2月29日までに処方された短下肢装具の総数は67個であり,そのうちプラスチックAFOは49個であった.プラスチックAFOのタイブでは,shoe horn typeが83.7%を占めていた.各施設で差があると思われるが,従来の金属支柱付短下肢装具に比較して,プラスチックAFOの処方数は増加していると思われる.
プラスチックAFOの特徴4)は,軽量で,外見がよく,装着感がよく,靴の変更が可能で,屋内外の兼用が可能であることが挙げられる.短所として,局所に加わる繰り返しの応力やひずみにより,プラスチックの変形や破損が起こり,破損した場合の修理が困難であるという点がある.
まず,我々は実際にプラスチックAFOの破損がどれくらいあるかを調査し,次に破損の要因の1つであるひずみが,プラスチックAFOを底背屈させた時に,どのように変化するかを調べ,プラスチックAFOのタイプや材料の違いによって,ひずみとして表わされる負荷がどのように変化するか調べた.
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