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内容のポイント Q&A
Q1 失行の分類,責任病巣は?
失行の発現機序にはいまだ不明な点が多い.そのため種々のとらえ方が今も存在している.その中で失行の代表型として知られているのは,単一道具の使用障害(古典論では観念失行とされ,最近では使用失行ともよばれる)と,パントマイムの障害(古典論では観念運動失行とされ,最近ではパントマイム失行ともよばれる)の2つである.いずれも左半球病変で両手に出現する.責任病巣として前頭葉と頭頂葉が重視されているがいまだ絞り込めていない.古典的失行としては,この2つの失行以外に「肢節運動失行(limb-kinetic apraxia)」があるが,これは要素的運動に近い水準での障害であり,今日では失行から外されることも多い.また失行の定義を満たす症候には,拮抗失行,道具の強迫的使用,運動無視,間欠性運動開始困難等が知られているが,いずれも一側性の障害である.
Q2 失行の評価法は?
使用失行では,単一道具の使用動作を,道具を把持して行う際に障害を認める.パントマイム失行では,おいでおいで等の信号動作のパントマイム,あるいは道具使用動作のパントマイム(道具を把持せずに行う)が障害される.ただし,いずれの失行も指示の内容や道具を正しく認識していることが前提である.つまり指示や道具を正しく認知しているのに使用ができない場合,パントマイムができない場合に,使用失行やパントマイム失行と判定する.使用失行では意味性の錯行為が,パントマイム失行では,運動性(空間性)の錯行為が生じるとされる.
Q3 失行に対するリハビリテーションは?
リハビリテーションの対象としては,使用失行とパントマイム失行はまとめて介入されている.その方法には失行症状そのものの改善を目指す「回復訓練法」と,失行症状そのものの改善ではなく,症例自身が代償・代替手段を獲得することでADLの回復を目指す「代償的訓練法」がある.
Q4 最近の話題は?
最近,変性性の認知症疾患の臨床診断が充実しつつある.そんな中,失行症状が,臨床診断基準に採用されることがある.大脳皮質基底核症候群やアルツハイマー病で用いられている.
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