Japanese
English
症例報告
失語症を合併した観念失行患者のリハビリテーション―主に視覚刺激を利用した認知訓練を行い改善がみられた1症例
Cognitive rehabilitation which mainly used of visual stimulus: The case of ideational apraxia accompanied by aphasia.
窪田 正大
1
,
浜田 博文
1
,
岩瀬 義昭
1
,
有川 順子
1
,
吉満 孝二
1
,
四元 珠紀
2
,
柴崎 生子
2
,
水田 敏久
2
Masatomo Kubota
1
,
Hirofumi Hamada
1
,
Yoshiaki Iwase
1
,
Junko Arikawa
1
,
Koji Yoshimitsu
1
,
Tamaki Yotsumoto
2
,
Takako Shibazaki
2
,
Toshihisa Mizuta
2
1鹿児島大学医学部保健学科作業療法学専攻
2加治木温泉病院リハビリテーションセンター
1Department of Occupational Therapy, School of Health Sciences, Faculty of Medicine, Kagoshima University
2Rehabilitation Center, Kajiki Onsen Hospital
キーワード:
観念失行
,
失語症
,
視覚刺激
,
認知訓練
Keyword:
観念失行
,
失語症
,
視覚刺激
,
認知訓練
pp.1407-1411
発行日 2002年12月10日
Published Date 2002/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109963
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はじめに
脳卒中患者の観念失行(以下,IA)出現率は左大脳半球損傷で4%1)~8%2)と少ないが,一旦出現すれば日常生活動作(以下,ADL)の重大な阻害因子となり決して看過できない.また,IAの多くは左大脳半球損傷に発症するので失語症を合併しやすく,その評価やリハビリテーションに難渋する.
IAの定義は種々議論があるが,大きく分類すると,①Poeck1)が提唱した「系列動作の障害」と,②De Renziら2,3)が提唱した「単一,複数を問わず物品の使用障害」とする説がある.臨床においては後者のほうが実際的であると言われているが4),訓練においては系列動作の行程・動作分析を行い治療の一助になることもある5).
そこで今回は,佐々木6)が報告した,回復期のIA患者に系列行為の各段階写真の正しい配列を学習させ,当該系列の行為の正反応を生起させた先行研究に準じ,慢性期の重度の失語症を合併したIA患者に主に写真という視覚刺激を利用し,系列動作と物品使用の視覚的再学習を図った認知訓練を実施したので,その結果に若干の考察を加えて報告する.
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