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はじめに
当院は2010年3月に都立3病院が統合し,東京都における高度かつ専門的な医療を提供する周産期・小児医療の拠点として開設された.病床数561床(一般347床,結核12床,精神202床),39科より成る「こころ」と「からだ」を総合した医療を提供する小児専門病院である.対象患児は,新生児から移行期までと幅広く,取り扱う病態も多岐にわたることから,当科においても日々の栄養管理や栄養食事指導などの場面で難渋することも多い.
入院患児の食事基準は,「日本人の食事摂取基準」の性別・年齢別の推定エネルギー必要量を参考に決定している.しかし,多様な疾患を背景とする患児の場合,体格が基準から大きく外れることもあり,標準的な指標での栄養管理では実際の必要エネルギー量との乖離がみられる場合がある.本来であれば患児個々の基礎代謝量を測定し,活動係数,ストレス係数などを考慮して決定することが理想である.
基礎代謝量については,いくつかの推定式は示されているが,小児を対象とした推定式は現時点で存在していない.このため,当院では従来より必要に応じて生体電気インピーダンス分析法による体成分分析装置(英国MALTRON社製BioScan920-Ⅱアナライザー)を使用した安静時代謝量の測定値をもとに,基礎代謝量を算定し,活動係数・ストレス係数などを考慮して必要エネルギー量を決定してきた.このデータをもとに,2016年に当院の臨床研究において当院独自の「小児基礎代謝量推定式」を作成し,現在でも基礎代謝量測定を行わない場合に活用している.
2022年3月から安静時代謝測定器を変更し,主治医のオーダーにより体成分分析装置InBody®S10を用いて基礎代謝量の測定を開始した.臨床研究にて推定式を検討した際の測定装置とは機種が異なっているため,推定値と測定値について以下のように比較・検討した.また,InBody®の適応年齢が6歳以上であるため,6歳未満の基礎代謝量の妥当性についても検討した.
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